信州大学医学部第二外科

心臓血管外科部門・乳腺内分泌・呼吸器外科部門のスペシャリスト、
信州大学医学部外科学講座(外科学第二)です。

HOME > 業績・研究 > 研究

業績・研究

研究

和田有子

テーマ:「組換えビフィズス菌を用いる疾患部位選択的な新規虚血性疾患治療薬の開発研究」

血管新生因子を発現・分泌する組換えビフィズス菌製剤を用いた新薬を創出・開発している。この製品は心筋梗塞や慢性下肢虚血疾患などの虚血性疾患患者を対象疾患とした血管新生療法薬であり、虚血部位は下肢や心筋等を問わず、静注するだけで薬剤自身が虚血部位を探し出し、到達し、局所で作用し、治癒とともに自己消失する。低侵襲に投与できるため、増加の一途を辿る糖尿病患者、透析患者、高齢者など全身状態不良患者にも投与可能な薬剤である。研究成果最適展開支援プログラムの支援をうけ実用化を目指している。
(研究成果最適展開支援プログラム ハイリスク挑戦タイプ 平成24年度採択課題)

砥石 政幸

テーマ:「胸腔鏡下肺葉切除術におけるVessel Sealing Device (VSD)の有効性の検討」

胸腔鏡下肺葉切除術において、結紮手技を伴う血管処理やリンパ節郭清には熟達を要します。Vessel Sealing Device (VSD)は、既に各分野の血管処理に使用され、手技の簡便化、安全性の向上に寄与し、細径の肺血管処理やリンパ節郭清にも非常に有用であると思われます。私は摘出標本における肺動脈断端破綻圧測定や臨床データの解析を行い、胸腔鏡下肺葉切除術におけるVSDの有効性を検討しています。

掲載論文:Usefulness of vessel-sealing devices for ≤7 mm diameter vessels: a randomized controlled trial for human thoracoscopic lobectomy in primary lung cancer.Interact Cardiovasc Thorac Surg;2014

兵庫谷 章

テーマ:「肺癌におけるYB-1の発現と予後との関連」

YB-1は、癌の抗癌剤耐性や、予後に関係するといわれている蛋白です。免疫染色やwestern-blottingなどの手法を用いて、肺癌の予後とYB-1の発現との関連を調べています。また、YB-1と他の抗癌剤耐性や予後に関与する蛋白などとの関連を調べることにより、YB-1の発現が肺癌の予後に対し、どのようなメカニズムで関与しているかについて解析しています。

 

掲載論文:Association of Nuclear YB-1 Localization With Lung Resistance-related Protein and Epidermal Growth Factor Receptor Expression in Lung Cancer. Clinical Lung Cancer; 2012

伊藤 勅子

テーマ:「乳癌におけるYB-1の抗癌剤耐性への関与」

抗癌剤治療後の再発症例や抗癌剤抵抗性の症例で発現の亢進が報告されているP糖蛋白をコードする薬剤耐性遺伝子MDR1が研究され,そのプロモーター領域にあるY-boxの結合蛋白はY-box binding Protein-1(YB-1)であることが報告されています。YB-1は癌細胞における抗癌剤耐性機構の発現に深く関与していると言われているため,乳癌細胞で抗癌剤耐性などと絡めて研究しています。

 

掲載論文:Alteration of Y-box Binding Protein-1 Expression Modifies the Response to Endocrine Therapy in Estrogen Receptor Positive Breast Cancer. Breast Cancer Research and Treatment; 2012

小林 宣隆

テーマ:「癌と癌微小環境:ヒアルロン酸糖鎖分子との関連から」

癌組織は癌細胞に加えて、線維芽細胞、免疫細胞、血管・リンパ管の構成細胞、生理活性物質などが存在して癌微小環境を形成しています。ヒアルロン酸は、細胞外マトリックスの主たる構成糖鎖成分として癌微小環境の構成に寄与し、乳癌・卵巣癌・前立腺癌などで予後不良因子として知られています。ヒアルロン酸細胞外マトリックスによる腫瘍内血管促進作用を明らかにするために、ヒアルロン酸を過剰発現する乳癌担癌マウスを用いた解析をしています。

 

掲載論文:Hyaluronan deficiency in tumor stroma impairs macrophage trafficking and tumor neovascularization. Cancer Research; 2010

江口 隆

テーマ:「片肺換気が好中球活性化に及ぼす影響と好中球エラスターゼ阻害剤の効果についての検討」

YB-1

胸部外科領域における術後急性肺障害の原因の一つとして,術中片肺換気が挙げられます.この研究では,ラットの片肺換気モデルを用いて,片肺換気が好中球の形態変化や停滞・遊走にどのような影響を与えるかについて検討しました.さらに,急性肺障害の治療薬として知られる好中球エラスターゼ阻害剤が,片肺換気後の好中球活性化を抑制し,術後急性肺障害の予防に効果があるかどうかについての検討も行い、実際の肺切除術における効果についても調査しました。

 

掲載論文1:Lung Re-expansion following One-Lung Ventilation Induces Neutrophil Cytoskeletal Rearrangements in Rats. Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery; 2013

掲載論文2: Sivelestat Prevents Cytoskeletal Rearrangements in Neutrophils Resulting from Lung Re-expansion following One-Lung Ventilation during Thoracic Surgery. Inflammation;2014

 

テーマ:「胸腺上皮性腫瘍におけるFDG-PET検査の有用性について」

胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫および胸腺癌)には、予後を反映する組織学的な分類があります。この分類は手術で切除した腫瘍の病理所見から決定されます。この研究では、FDG-PET検査を行い、術前に胸腺上皮性腫瘍の組織分類の予測が可能かどうか調査しました。


YB-1

掲載論文:Utility of 18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography for distinguishing between the histological types of early stage thymic epithelial tumours. European Journal of Cardio-Thoracic Surgery; 2012

 

テーマ:「Ground-glass noduleについての検討」


CTの普及により、小型のGround-glass noduleを発見する機会が増えています。これらの多くは前癌病変あるいは早期肺癌ですが、一般に増殖が遅く、その自然経過や治療適応について解明されていない部分が多く残っています。信州大学では早期から肺癌CT検診を導入しており、Ground-glass noduleを有する多数の症例を長期間経過観察した実績があり、それらに対する手術経験も豊富です。現在われわれは、Ground-glass noduleの自然経過や治療時期・治療内容の解明するため、このような症例の後ろ向きあるいは前向き調査を行っております。

 

掲載論文:①Computed tomography attenuation predicts the growth of pure ground-glass nodules.Lung Cancer;2014
      ②Tumor size and computed tomography attenuation of pulmonary pure ground-glass nodules are useful for predicting pathological invasiveness.PLoS One;2014

 

テーマ:「3D-CTを用いた肺区域切除術」

早期肺癌の増加により縮小手術を行う機会が増えつつあります。縮小手術の一つである肺区域切除は肺血管・気管支の変異に対して対応する必要があるなど、難易度の高い手術の一つに挙げられます。
この研究では、術前に造影CTにて肺血管・気管支の3D画像を構築し、入念な術前シミュレーションを行ったうえで、術中にiPadを用いて3D画像の確認を行いながら手術を行うことで、肺区域切除術が安全に施行可能かどうか、調査しました。


YB-1 YB-1

掲載論文:Three-dimensional imaging navigation during a lung segmentectomy using an iPad. European Journal of Cardio-Thoracic Surgery; 2012

渡辺 隆之

テーマ:「タモキシフェン耐性乳癌の抗癌剤感受性の解析」

エストロゲン受容体(以下ER)陽性再発乳癌では、生命を脅かす転移が認められる場合や内分泌療法に耐性となった場合に化学療法が選択されますが、その際の化学療法剤の選択において有用な指標は未だ確立されていません。この指標を確認するため、ER陽性乳癌細胞株と、それぞれのタモキシフェン耐性株を用いて、抗癌剤に対する感受性の違いを確認しています。


花村 徹

テーマ:「乳癌細胞株におけるアロマターゼ阻害薬耐性機序の解析」

近年、乳癌治療において、手術後に補助的に化学療法や内分泌療法を行うことで再発の危険率が下げられることが明らかとなり、中でも閉経後のホルモン感受性乳癌に対しては、多くの患者さんに術後補助内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬が用いられています。われわれの研究室ではこのアロマターゼ阻害剤にたいする薬剤耐性のメカニズムを明らかにすることで、新たな治療薬の開発や、治療の個別化により乳癌の再発率の抑制を目指しています。

 

掲載論文:Androgen metabolite-dependent growth of hormone receptor-positive breast cancer as a possible aromatase inhibitor-resistance mechanism. Breast Cancer Research and Treatment; 2013


岡田 敏宏

テーマ:「甲状腺癌における癌幹細胞の同定」

甲状腺癌においては、予後良好な分化癌(乳頭癌・濾胞癌)と比較して、未分化癌は悪性腫瘍の中でも非常に予後不良な経過をたどり、未分化転化の機序もまだ解明されてはいません。化学療法・放射線療法に耐性を示す未分化癌の特徴を考慮すると、分化癌の中に存在している癌幹細胞が未分化転化に関与している可能性も推測されます。
本研究では、未分化癌の特徴を癌幹細胞の視点から解析することを目的とし、甲状腺癌細胞株・甲状腺癌臨床検体を用いて、FACS解析・免疫染色等を行い、甲状腺癌における癌幹細胞に関連する因子の解析を進めています。

 

掲載論文:Coexpression of EpCAM, CD44 variant isoforms and claudin-7 in anaplastic thyroid carcinoma. PLoS One;2014